代々木塾 弁理士試験

平成28年度 短答試験

 

【意匠】3

 意匠法第5条(意匠登録を受けることができない意匠)に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。

1 外国の国旗の模様が表された意匠であっても、意匠登録を受けることができる場合がある。

2 他人の業務に係る物品と混同を生ずるおそれがある意匠であっても、意匠登録を受けることができる場合がある。

3 物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠については、国際意匠登録出願に係る場合であっても、意匠登録を受けることができない。

4 物品の品質の誤認を生ずるおそれがある意匠であっても、意匠登録を受けることができる場合がある。

5 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある意匠について意匠登録された場合には、意匠権の設定の登録の日から5年を経過した後であっても、その意匠登録を無効にすることについて意匠登録無効審判を請求することができる。


〔正解〕2

1 正しい
 意匠審査基準41.1.1 公の秩序を害するおそれがある意匠について
 日本若しくは外国の元首の像又は国旗を表した意匠、わが国の皇室の菊花紋章や外国の王室の紋章(類似するものを含む。)等を表した意匠は、国や皇室又は王室に対する尊厳を害するおそれが多く、公の秩序を害するおそれがあるものと認められるので、このような意匠は、意匠登録を受けることができない。
 ただし、模様として表された運動会風景中の万国旗等のように公の秩序を害するおそれがないと認められる場合は含まれない。
 本問において「外国の国旗の模様が表された意匠であっても、意匠登録を受けることができる場合がある。」とあるのは、正しい。
 よって、本問は、正しい。

2 誤り
 意5条柱書は「次に掲げる意匠については、第三条の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。」と規定している。
 意5条2号は「他人の業務に係る物品と混同を生ずるおそれがある意匠」と規定している。
 本問において「他人の業務に係る物品と混同を生ずるおそれがある意匠であっても、意匠登録を受けることができる場合がある。」とあるのは、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

3 正しい
 意5条柱書は「次に掲げる意匠については、第三条の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。」と規定している。
 意5条3号は「物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠」と規定している。
 意5条3号は、国際意匠登録出願にも適用される。
 本問において「物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠については、国際意匠登録出願に係る場合であっても、意匠登録を受けることができない。」とあるのは、正しい。

4 正しい
 意5条各号には、「物品の品質の誤認を生ずるおそれがある意匠」は、規定されていない。
 本問において「物品の品質の誤認を生ずるおそれがある意匠であっても、意匠登録を受けることができる場合がある。」とあるのは、正しい。
 よって、本問は、正しい。

5 正しい
 意48条1項柱書は「意匠登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その意匠登録を無効にすることについて意匠登録無効審判を請求することができる。」と規定している。
 意48条1項1号は「その意匠登録が第三条、第三条の二、第五条、第九条第一項若しくは第二項、第十条第二項若しくは第三項、第十五条第一項において準用する特許法第三十八条又は第六十八条第三項において準用する同法第二十五条の規定に違反してされたとき(その意匠登録が第十五条第一項において準用する同法第三十八条の規定に違反してされた場合にあつては、第二十六条の二第一項の規定による請求に基づき、その意匠登録に係る意匠権の移転の登録があつたときを除く。)。」と規定している。
 意5条違反は、無効理由に該当する。
 意匠登録無効審判においては、除斥期間は、規定されていない。
 本問において「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある意匠について意匠登録された場合には、意匠権の設定の登録の日から5年を経過した後であっても、その意匠登録を無効にすることについて意匠登録無効審判を請求することができる。」とあるのは、正しい。
 よって、本問は、正しい。