代々木塾 弁理士試験

平成28年度 短答試験

【意匠】5

 意匠登録出願に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
 ただし、ジュネーブ改正協定に基づく特例は考慮しないものとする。

1 意匠登録を受けようとする意匠を図面に記載する場合において、その意匠に係る物品の一部が透明であるときは、その旨を願書に記載しなくてもよい。

2 意匠に係る物品を「ロボットおもちゃ」とする意匠登録出願の願書に添付した図面に、変化する前の形状と変化した後の形状を記載した意匠登録出願は、願書の記載にかかわらず、複数の意匠を含むものとして一意匠一出願の要件を満たさない。

3 物品の部分について部分意匠として意匠登録を受けようとするときは、意匠登録出願の願書の意匠に係る物品を「〜の部分」と記載しなければならない。

4 意匠に係る物品の記載又は願書に添付した図面により、その意匠の属する分野における通常の知識を有する者が、その意匠を認識することができるときは、その意匠に係る物品の大きさを願書に記載しなくてもよい。

5 全体が白色である文鎮の図面と、それと同一形状で全体が黒色である文鎮の黒色の彩色を省略した図面の双方を一の願書に添付した意匠登録出願は、一意匠一出願の要件を満たす。


〔正解〕4

1 誤り
 意6条7項は「第一項の規定により提出する図面に意匠を記載し、又は第二項の規定により提出する写真若しくはひな形に意匠を現す場合において、その意匠に係る物品の全部又は一部が透明であるときは、その旨を願書に記載しなければならない。」と規定している。
 本問において「意匠登録を受けようとする意匠を図面に記載する場合において、その意匠に係る物品の一部が透明であるときは、その旨を願書に記載しなくてもよい。」とあるのは、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

2 誤り
 意6条4項は「意匠に係る物品の形状、模様又は色彩がその物品の有する機能に基づいて変化する場合において、その変化の前後にわたるその物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合について意匠登録を受けようとするときは、その旨及びその物品の当該機能の説明を願書に記載しなければならない。」と規定している。
 意匠に係る物品を「ロボットおもちゃ」とする意匠登録出願の願書に添付した図面に、変化する前の形状と変化した後の形状を記載した意匠登録出願は、意6条4項により所定の事項を願書に記載したときは、一意匠とされる。
 本問において「意匠に係る物品を「ロボットおもちゃ」とする意匠登録出願の願書に添付した図面に、変化する前の形状と変化した後の形状を記載した意匠登録出願は、願書の記載にかかわらず、複数の意匠を含むものとして一意匠一出願の要件を満たさない。」とあるのは、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

3 誤り
 意7条は「意匠登録出願は、経済産業省令で定める物品の区分により意匠ごとにしなければならない。」と規定している。
 部分意匠の意匠登録出願であっても、意匠に係る物品の欄には、経済産業省令で定める物品の区分を記載しなければならない。
 意匠に係る物品を「〜の部分」と記載したときは、意7条違反となる。
 本問において「物品の部分について部分意匠として意匠登録を受けようとするときは、意匠登録出願の願書の意匠に係る物品を「〜の部分」と記載しなければならない。」とあるのは、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

4 正しい
 意6条3項は「第一項第三号の意匠に係る物品の記載又は願書に添付した図面、写真若しくはひな形によつてはその意匠の属する分野における通常の知識を有する者がその意匠に係る物品の材質又は大きさを理解することができないためその意匠を認識することができないときは、その意匠に係る物品の材質又は大きさを願書に記載しなければならない。」と規定している。
 意匠に係る物品の記載又は図面等により意匠を認識できるときは、意6条3項は適用されない。
 本問において「意匠に係る物品の記載又は願書に添付した図面により、その意匠の属する分野における通常の知識を有する者が、その意匠を認識することができるときは、その意匠に係る物品の大きさを願書に記載しなくてもよい。」とあるのは、正しい。
 よって、本問は、正しい。

5 誤り
 1つの意匠登録出願において、白色の文鎮の図面と、黒色の文鎮の図面が記載されているときは、白色の文鎮の意匠と黒色の文鎮の意匠は異なる2つの意匠であるので、一意匠一出願(意7条)の要件を満たさない。
 本問において「全体が白色である文鎮の図面と、それと同一形状で全体が黒色である文鎮の黒色の彩色を省略した図面の双方を一の願書に添付した意匠登録出願は、一意匠一出願の要件を満たす。」とあるのは、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。