代々木塾 弁理士試験 短答

平成25年度 短答試験

〔60〕商標法上の商品及び役務に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
 ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

1 商標法上、商品については定義されていないものの、商取引の目的たりうべき物、特に動産をいうと解されているが、天然ガス液化石油ガス等の気体燃料は、商標法上の商品にはなり得ない。

2 商標法上の役務は、他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきものと解されているが、これには役務の提供に付随して提供される労務や便益が含まれる。

3 商品に類似するものの範囲には役務が含まれることがあり、役務に類似するものの範囲には商品が含まれることがある。

4 商品と役務について複数の区分を指定した商標登録出願をする場合、同一の商標を使用したときに出所混同を生ずるおそれのある商品及び役務を指定しなければならない。

5 株券、公債のような有価証券は、商標法上の商品に該当する。

 

1 誤り
 商標法上の「商品」とは、商取引の目的たり得るべき物、特に動産をいう(青本)。
 商品及び役務の区分の第4類には、「気体燃料」として、液化石油ガス、石炭ガス、天然ガスが例示されている。
 本問において「商標法上、商品については定義されていないものの、商取引の目的たりうべき物、特に動産をいうと解されているが、天然ガス液化石油ガス等の気体燃料は、商標法上の商品にはなり得ない。」とあるのは、「気体燃料は、商標法上の商品にはなり得ない」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

2 誤り
 商標法上の「役務」とは、他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきものをいう(青本)。
 商2条2項は「前項第二号の役務には、小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれるものとする。」と規定している。
 商2条2項の役務は、商品の小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供を意味する。役務の提供に付随して提供される労務や便益を意味するわけではない。
 本問において「商標法上の役務は、他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきものと解されているが、これには役務の提供に付随して提供される労務や便益が含まれる。」とあるのは、「役務の提供に付随して提供される労務や便益が含まれる」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

3 正しい
 商2条6項は「この法律において、商品に類似するものの範囲には役務が含まれることがあるものとし、役務に類似するものの範囲には商品が含まれることがあるものとする。」と規定している。
 本問において「商品に類似するものの範囲には役務が含まれることがあり、役務に類似するものの範囲には商品が含まれることがある。」とあるのは、正しい。
 よって、本問は、正しい。

4 誤り
 商6条1項は「商標登録出願は、商標の使用をする一又は二以上の商品又は役務を指定して、商標ごとにしなければならない。」と規定している。
 指定商品又は指定役務が類似していることは要件とされない。非類似の指定商品又は指定役務を指定することもできる。
 本問において「商品と役務について複数の区分を指定した商標登録出願をする場合、同一の商標を使用したときに出所混同を生ずるおそれのある商品及び役務を指定しなければならない。」とあるのは、「同一の商標を使用したときに出所混同を生ずるおそれのある商品及び役務を指定しなければならない」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

5 誤り
 商標法上の「商品」とは、商取引の目的たり得るべき物、特に動産をいう(青本)。
 有価証券は、それ自体が独立して取引の対象となるものではないので、商品には該当しない。
 本問において「株券、公債のような有価証券は、商標法上の商品に該当する。」とあるのは、「有価証券は、商標法上の商品に該当する」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。