代々木塾 弁理士試験 短答

平成23年度 短答試験

〔7〕商標の使用等に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
 ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

1 標章を付した商品を輸出する行為は、その商品は輸出先国での販売が予定されているので、わが国での商標の使用には当たらない。

2 コンピュータプログラムを記録したCD-ROMに標章を付して販売する行為は、役務についての商標の使用となる。

3 電気通信回線を通じて提供される「ダウンロード可能な電子出版物」に使用をする商標は、役務に係る商標登録出願ではなくて、商品に係る商標登録出願として出願されるべきである。

4 商標は、業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするものであるため、商品の生産準備中に、使用予定の商標を新聞・雑誌などに広告することは商標の使用には当たらない。

5 登録商標と同一の商標であっても、商標権者以外の者が使用したときは、その商標は登録商標ではない。

 

〔正解〕3

1 誤り
 商2条3項柱書は「この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。」と規定している。
 商2条3項2号は「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為」と規定している。
 商品に標章を付したものを輸出する行為は、商2条3項2号の使用に該当する。
 本問において「標章を付した商品を輸出する行為は、その商品は輸出先国での販売が予定されているので、わが国での商標の使用には当たらない。」とあるのは、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

2 誤り
 商2条3項柱書は「この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。」と規定している。
 商2条3項2号は「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為」と規定している。
 コンピュータプログラムを記録したCD-ROMに標章を付して販売する行為は、商品に標章を付したものを譲渡する行為に該当し、商品についての商標の使用に該当する(青本)。
 本問において「コンピュータプログラムを記録したCD-ROMに標章を付して販売する行為は、役務についての商標の使用となる。」とあるのは、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

3 正しい
 商2条3項柱書は「この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。」と規定している。
 商2条3項2号は「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為」と規定している。
 コンピュータプログラム等の電子情報財はダウンロード可能であれば商品として扱うこととなり、保存できないような形で電子情報財を提供する場合は役務として扱うこととなる(青本)。
 本問において「電気通信回線を通じて提供される「ダウンロード可能な電子出版物」に使用をする商標は、役務に係る商標登録出願ではなくて、商品に係る商標登録出願として出願されるべきである。」とあるのは、正しい。
 よって、本問は、正しい。

4 誤り
 商2条3項柱書は「この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。」と規定している。
 商2条3項8号は「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」と規定している。
 商品が製造される前あるいは役務が提供される前にその商品又は役務に使用する予定の商標をあらかじめ新聞、雑誌等に広告するような場合は、その広告はすでに商標の使用となる(青本)。
 本問において「商標は、業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするものであるため、商品の生産準備中に、使用予定の商標を新聞・雑誌などに広告することは商標の使用には当たらない。」とあるのは、「商標の使用には当たらない」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

5 誤り
 商2条5項は「この法律で「登録商標」とは、商標登録を受けている商標をいう。」と規定している。
 商標登録があった商標は、商標権者が使用するときはもちろん、他の何人が使用するときでも登録商標であり、また、指定商品又は指定役務に使用するときはもちろん、指定商品以外の商品若しくは役務又は指定役務以外の役務若しくは商品に使用するときでも登録商標である(青本)。
 本問において「登録商標と同一の商標であっても、商標権者以外の者が使用したときは、その商標は登録商標ではない。」とあるのは、「登録商標ではない」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。