代々木塾 弁理士試験 短答

平成24年度 短答試験

〔11〕商標登録出願又は防護標章登録出願に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
 ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

(イ)防護標章登録出願人は、その防護標章登録出願について査定又は審決が確定した後でも、その防護標章登録出願を商標登録出願に変更することができる場合がある。

(ロ)防護標章登録出願に係る標章がその出願の日前に出願された他人の商標登録に係る登録商標と同一であって、当該商標登録に係る指定商品と同一の商品を指定する場合でも、そのことを理由として、当該防護標章登録出願が拒絶されることはない。

(ハ)通常の商標登録出願(団体商標の商標登録出願及び地域団体商標の商標登録出願以外の商標登録出願)の出願人は、その出願についての査定又は審決が確定する前であっても、その出願を地域団体商標の商標登録出願に変更することができない。

(ニ)商標登録出願人は、その商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合は、2以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を1又は2以上の新たな商標登録出願にすることができない。

(ホ)団体商標の商標登録出願を地域団体商標の商標登録出願へ変更する場合には、商標登録出願人は、その新たな商標登録出願と同時に当該団体商標の商標登録出願を取り下げなければならない。

1 1つ   2 2つ   3 3つ   4 4つ   5 5つ

正解 1

(イ)誤り
 商12条1項は「防護標章登録出願人は、その防護標章登録出願を商標登録出願に変更することができる。」と規定している。
 商12条2項は「前項の規定による出願の変更は、防護標章登録出願について査定又は審決が確定した後は、することができない。」と規定している。
 本問において「防護標章登録出願人は、その防護標章登録出願について査定又は審決が確定した後でも、その防護標章登録出願を商標登録出願に変更することができる場合がある。」とあるのは、「変更することができる場合がある」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

(ロ)正しい
 商68条1項は「第五条、第五条の二、第六条第一項及び第二項、第九条の二から第十条まで、第十二条の二、第十三条第一項並びに第十三条の二の規定は、防護標章登録出願に準用する。この場合において、第五条第一項中「三 指定商品又は指定役務並びに第六条第二項の政令で定める商品及び役務の区分」とあるのは「三 指定商品又は指定役務並びに第六条第二項の政令で定める商品及び役務の区分 四 防護標章登録出願に係る商標登録の登録番号」と、第五条の二第一項中「四 指定商品又は指定役務の記載がないとき。」とあるのは「四 指定商品又は指定役務の記載がないとき。 五 防護標章登録出願に係る商標登録の登録番号の記載がないとき。」と、第十三条の二第五項中「第三十七条」とあるのは「第六十七条(第一号に係る部分を除く。)」と読み替えるものとする。」と規定している。
 防護標章登録出願については、商4条1項11号は、適用されない。
 本問において「防護標章登録出願に係る標章がその出願の日前に出願された他人の商標登録に係る登録商標と同一であって、当該商標登録に係る指定商品と同一の商品を指定する場合でも、そのことを理由として、当該防護標章登録出願が拒絶されることはない。」とあるのは、正しい。
 よって、本問は、正しい。

(ハ)誤り
 商11条3項は「商標登録出願人は、通常の商標登録出願を団体商標の商標登録出願又は地域団体商標の商標登録出願に変更することができる。」と規定している。
 商11条4項は「前三項の規定による商標登録出願の変更は、商標登録出願について査定又は審決が確定した後は、することができない。」と規定している。
 本問において「通常の商標登録出願(団体商標の商標登録出願及び地域団体商標の商標登録出願以外の商標登録出願)の出願人は、その出願についての査定又は審決が確定する前であっても、その出願を地域団体商標の商標登録出願に変更することができない。」とあるのは、「査定又は審決が確定する前であっても、その出願を地域団体商標の商標登録出願に変更することができない」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

(ニ)誤り
 商10条1項は「商標登録出願人は、商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に限り、二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる。」と規定している。
 拒絶審決取消訴訟が裁判所に係属しているときは、商標登録出願を分割できる。
 本問において「商標登録出願人は、その商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合は、2以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を1又は2以上の新たな商標登録出願にすることができない。」とあるのは、「新たな商標登録出願にすることができない」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

(ホ)誤り
 商11条1項は「商標登録出願人は、団体商標の商標登録出願を通常の商標登録出願(団体商標の商標登録出願及び地域団体商標の商標登録出願以外の商標登録出願をいう。以下同じ。)又は地域団体商標の商標登録出願に変更することができる。」と規定している。
 商11条5項は「第一項から第三項までの規定による商標登録出願の変更があつたときは、もとの商標登録出願は、取り下げたものとみなす。」と規定している。
 本問において「団体商標の商標登録出願を地域団体商標の商標登録出願へ変更する場合には、商標登録出願人は、その新たな商標登録出願と同時に当該団体商標の商標登録出願を取り下げなければならない。」とあるのは、「商標登録出願を取り下げなければならない」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。