代々木塾 弁理士試験 短答

平成26年度 短答試験

〔37〕商標登録出願等に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、拒絶をすべき旨の査定の謄本の送達を受けた後、拒絶査定に対する審判を請求する前までに行うことができる手続は、いくつあるか。

(イ)商標登録出願について行われた指定商品の補正を却下する旨の決定に対する審判の請求。

(ロ)地域団体商標の商標登録出願に係る区分の数を減ずる補正。

(ハ)国際商標登録出願について、通常の商標登録出願から団体商標の商標登録出願への出願の変更。

(ニ)国際商標登録出願以外の商標登録出願により生じた権利の相続その他の一般承継の特許庁長官への届出。

(ホ)2以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を1又は2以上の新たな商標登録出願にする分割。

1 1つ  2 2つ  3 3つ  4 4つ  5 5つ


正解 1

(イ)できない
 商16条の2第3項は「第一項の規定による却下の決定があつたときは、決定の謄本の送達があつた日から三月を経過するまでは、当該商標登録出願について査定をしてはならない。」と規定している。
 商45条1項は「第十六条の二第一項の規定による却下の決定を受けた者は、その決定に不服があるときは、その決定の謄本の送達があつた日から三月以内に審判を請求することができる。ただし、第十七条の二第一項において準用する意匠法第十七条の三第一項に規定する新たな商標登録出願をしたときは、この限りでない。」と規定している。
 補正の却下の決定があったときは、決定の謄本の送達があった日から3月を経過するまでは、拒絶査定ができない。
 拒絶査定の謄本の送達があった後は、補正却下決定不服審判の請求期間の3月が経過しているため、補正却下決定不服審判の請求はできない。
 よって、当該手続は、できない。

(ロ)できない
 商68条の40第1項は「商標登録出願、防護標章登録出願、請求その他商標登録又は防護標章登録に関する手続をした者は、事件が審査、登録異議の申立てについての審理、審判又は再審に係属している場合に限り、その補正をすることができる。」と規定している。
 拒絶査定の謄本の送達後、拒絶査定不服審判を請求する前は、商68条の40第1項の補正はできない。
 商68条の40第2項は「商標登録出願をした者は、前項の規定にかかわらず、第四十条第一項又は第四十一条の二第一項の規定による登録料の納付と同時に、商標登録出願に係る区分の数を減ずる補正をすることができる。」と規定している。
 拒絶査定の謄本の送達後、拒絶査定不服審判の請求前においては、商68条の40第2項の補正もできない。
 よって、当該手続は、できない。

(ハ)できない
 商68条の13は「国際商標登録出願については、第十一条及び第六十五条の規定は、適用しない。」と規定している。
 国際商標登録出願については、出願の変更はできない。
 よって、当該手続は、できない。

(ニ)できる
 商標登録出願により生じた権利の一般承継による承継は、商標登録出願が特許庁に係属している限り、することができる(準特34条5項)。
 拒絶査定の謄本の送達後、3月の期間が経過する前は、商標登録出願が特許庁に係属している。
 よって、当該手続は、できる。

(ホ)できない
 商10条1項は「商標登録出願人は、商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に限り、二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる。」と規定している。
 拒絶査定の謄本の送達後、拒絶査定不服審判を請求する前は、分割の時期的要件を満たさない。
 よって、当該手続は、できない。