代々木塾 弁理士試験 短答
平成23年度 短答試験
〔11〕団体商標及び地域団体商標に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。
1 地域団体商標に係る商標権は、いかなる場合であっても移転することができない。
2 団体商標に係る商標権は、その権利が移転された場合、そのことにより、通常の商標権に変更されたものとみなされるときはない。
3 団体商標に係る商標権については、その商標権が商標法第4条第2項に規定する商標登録出願に係る商標権である場合は、専用使用権を設定することができない。
4 地域団体商標に係る商標権者は、その商標権について構成員以外の他人に通常使用権を許諾することはできない。
5 商品に使用をする地域団体商標に係る商標権に係る防護標章登録については、その商標権に係る登録商標が構成員の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合であっても、商標権者の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていない場合は、商標権者は、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができない。
正解 3
1 誤り
商24条の2第4項は「地域団体商標に係る商標権は、譲渡することができない。」と規定している。
地域団体商標に係る商標権は、一般承継の場合には、移転することができる。
本問において「地域団体商標に係る商標権は、いかなる場合であっても移転することができない。」とあるのは、「いかなる場合であっても移転することができない」とある点で、誤りである。
よって、本問は、誤りである。
2 誤り
商24条の3第1項は「団体商標に係る商標権が移転されたときは、次項に規定する場合を除き、その商標権は、通常の商標権に変更されたものとみなす。」と規定している。
団体商標に係る商標権は、その権利が移転された場合、団体商標として移転する旨を記載した書面と商7条3項に規定する書面を移転の登録の申請と同時に提出しないときは、通常の商標権に変更されたものとみなされる。
本問において「団体商標に係る商標権は、その権利が移転された場合、そのことにより、通常の商標権に変更されたものとみなされるときはない。」とあるのは、「通常の商標権に変更されたものとみなされるときはない」とある点で、誤りである。
よって、本問は、誤りである。
3 正しい
商30条1項は「商標権者は、その商標権について専用使用権を設定することができる。ただし、第四条第二項に規定する商標登録出願に係る商標権及び地域団体商標に係る商標権については、この限りでない。」と規定している。
団体商標に係る商標権については、その商標権が商4条2項に規定する商標登録出願に係る商標権である場合は、専用使用権を設定することができない。
本問において「団体商標に係る商標権については、その商標権が商標法第4条第2項に規定する商標登録出願に係る商標権である場合は、専用使用権を設定することができない。」とあるのは、正しい。
よって、本問は、正しい。
4 誤り
商31条1項は「商標権者は、その商標権について他人に通常使用権を許諾することができる。ただし、第四条第二項に規定する商標登録出願に係る商標権については、この限りでない。」と規定している。
地域団体商標に係る商標権者は、その商標権について構成員以外の他人に通常使用権を許諾することができる。
本問において「地域団体商標に係る商標権者は、その商標権について構成員以外の他人に通常使用権を許諾することはできない。」とあるのは、「構成員以外の他人に通常使用権を許諾することはできない」とある点で、誤りである。
よって、本問は、誤りである。
5 誤り
商64条3項は「地域団体商標に係る商標権に係る防護標章登録についての前二項の規定の適用については、これらの規定中「自己の」とあるのは、「自己又はその構成員の」とする。」と規定している。
地域団体商標に係る登録商標が地域団体構成員の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、商標権者は、当該登録商標と同一の標章について防護標章登録を受けることができる。
本問において「商品に使用をする地域団体商標に係る商標権に係る防護標章登録については、その商標権に係る登録商標が構成員の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合であっても、商標権者の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていない場合は、商標権者は、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができない。」とあるのは、「商標権者は、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができない」とある点で、誤りである。
よって、本問は、誤りである。