代々木塾 弁理士試験 短答

平成25年度 短答試験

〔29〕団体商標及び地域団体商標に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
 ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

1 商工会議所や商工会、特定非営利活動法人NPO法人)、財団法人は、団体商標の商標登録を受けることができる。

2 団体商標に係る商標権を団体商標に係る商標権として移転しようとするときは、その旨を記載した書面のほかに、譲受人が商標法第7条第3項に規定する書面(同法第7条第1項に規定する法人であることを証明する書面)を移転の登録の申請と同時に特許庁長官に提出しなければならない。

3 地域団体商標に係る商標権は譲渡することはできないし、合併その他の一般承継の場合にも移転することはできない。

4 地域団体商標に係る商標権については、そもそも事業者がその団体の構成員に使用させる商標であるから、専用使用権の設定は認められないし、通常使用権の許諾も認められていない。

5 他人の地域団体商標の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなく、その出願に係る商標と同一又は類似の商標を、当該出願に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用していた者が、継続してその商品についてその商標を使用する場合は、当該商標がいわゆる周知であることを要件として、商標法第32条の2の先使用権を有する。

正解 2

1 誤り
 商7条1項は「一般社団法人その他の社団(法人格を有しないもの及び会社を除く。)若しくは事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除く。)又はこれらに相当する外国の法人は、その構成員に使用をさせる商標について、団体商標の商標登録を受けることができる。」と規定している。
 「その他の社団」には、商工会議所、商工会、特定非営利活動法人が含まれるが(青本)、財団法人は、「その他」の社団に含まれない。
 本問において「商工会議所や商工会、特定非営利活動法人NPO法人)、財団法人は、団体商標の商標登録を受けることができる。」とあるのは、「財団法人は、団体商標の商標登録を受けることができる。」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

2 正しい
 商24条の3第2項は「団体商標に係る商標権を団体商標に係る商標権として移転しようとするときは、その旨を記載した書面及び第七条第三項に規定する書面を移転の登録の申請と同時に特許庁長官に提出しなければならない。」と規定している。
 本問において「団体商標に係る商標権を団体商標に係る商標権として移転しようとするときは、その旨を記載した書面のほかに、譲受人が商標法第7条第3項に規定する書面(同法第7条第1項に規定する法人であることを証明する書面)を移転の登録の申請と同時に特許庁長官に提出しなければならない。」とあるのは、正しい。
 よって、本問は、正しい。

3 誤り
 商24条の2第4項は「地域団体商標に係る商標権は、譲渡することができない。」と規定している。
 地域団体商標に係る商標権は、「譲渡」することはできないが、一般承継による移転はすることができる(青本)。
 本問において「地域団体商標に係る商標権は譲渡することはできないし、合併その他の一般承継の場合にも移転することはできない。」とあるのは、「合併その他の一般承継の場合にも移転することはできない」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

4 誤り
 商30条1項は「商標権者は、その商標権について専用使用権を設定することができる。ただし、第四条第二項に規定する商標登録出願に係る商標権及び地域団体商標に係る商標権については、この限りでない。」と規定している。地域団体商標に係る商標権については、専用使用権を設定することができない。
 商31条1項は「商標権者は、その商標権について他人に通常使用権を許諾することができる。ただし、第四条第二項に規定する商標登録出願に係る商標権については、この限りでない。」と規定している。地域団体商標に係る商標権について通常使用権を許諾することは禁止されていない。
 本問において「地域団体商標に係る商標権については、そもそも事業者がその団体の構成員に使用させる商標であるから、専用使用権の設定は認められないし、通常使用権の許諾も認められていない。」とあるのは、「通常使用権の許諾も認められていない」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

5 誤り
 商32条の2第1項「他人の地域団体商標の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなくその商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその商標又はこれに類似する商標の使用をしていた者は、継続してその商品又は役務についてその商標の使用をする場合は、その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。当該業務を承継した者についても、同様とする。」と規定している。
 商32条の2第1項では、商32条第1項と異なり、使用している商標が周知であることは、先使用権の発生の要件とされていない。
 本問において「他人の地域団体商標の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなく、その出願に係る商標と同一又は類似の商標を、当該出願に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用していた者が、継続してその商品についてその商標を使用する場合は、当該商標がいわゆる周知であることを要件として、商標法第32条の2の先使用権を有する。」とあるのは、「当該商標がいわゆる周知であることを要件として、商標法第32条の2の先使用権を有する」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。