代々木塾 弁理士試験 短答

平成27年度 短答試験

〔46〕団体商標及び地域団体商標に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。

1 国際登録に基づく団体商標の商標登録出願人が、団体商標の登録主体として認められる法人(商標法第7条第1項に規定する法人)であることを証明する書面を特許庁長官に提出しない場合には、当該書面の提出についての手続の補正が命じられ、これを提出しないと当該団体商標登録出願は却下される。

2 団体構成員又は地域団体構成員による登録商標の使用は、商標権者の自己の構成員として、不使用による商標登録の取消しの審判(商標法第50条)において、商標権者の使用とみなされる。

3 国際登録に基づく団体商標に係る商標権を移転しようとするときは、その旨を記載した書面を移転の登録の申請と同時に特許庁長官に提出しなくても、商標法第7条第3項に規定する書面を提出すればよい。

4 地域の名称と商品の普通名称からなる商標が使用をされた結果、自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、その商標は、商標法第3条の規定にかかわらず、地域団体商標として、商標登録を受けることができる場合がある。

5 団体商標の登録主体として認められるものとしては、一般社団法人その他の社団(法人格を有しないもの及び会社を除く。)等があり、地域団体商標の登録主体として認められるものとしては、商工会、商工会議所若しくは特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人等がある。


正解 1と2

1 誤り
 商標審査基準(商7条)には、下記のとおり記載されている。
3.国際商標登録出願において「Collective mark, certification mark, or guarantee mark」(団体商標、証明商標又は保証商標)と記載されている場合であって、第7条第3項に規定する証明書(第7条第1項の法人であることを証する書面)の提出がない場合は、団体商標として第3条第1項柱書により登録を受けることができないものとする。
 なお、団体商標の商標登録出願(国内出願)については、補正指令(方式)の対象となる。
 国際登録に基づく国際商標登録出願の出願人が商7条1項の法人であることの証明書面を自発的に特許庁長官に提出しないときは、補正命令ではなくて、商3条1項柱書違反の拒絶理由が通知される。
 本問において、「国際登録に基づく団体商標の商標登録出願人が、団体商標の登録主体として認められる法人(商標法第7条第1項に規定する法人)であることを証明する書面を特許庁長官に提出しない場合には、当該書面の提出についての手続の補正が命じられ、これを提出しないと当該団体商標登録出願は却下される。」とあるのは、「当該書面の提出についての手続の補正が命じられ、これを提出しないと当該団体商標登録出願は却下される」とある点で、誤りである。
 なお、特許庁公表の解答では、本問は、正しいとなっているが、特許庁の解答は明らかに誤りである。
 本番で解答が2つあった場合には、より正解に近い枝を選択すべきである。

2 誤り
 商31条の2第3項は「団体構成員又は地域団体構成員は、第二十四条の四、第二十九条、第五十条、第五十二条の二、第五十三条及び第七十三条の規定の適用については、通常使用権者とみなす。」と規定している。
 商50条の適用においては、団体構成員又は地域団体構成員は通常使用権者とみなされるのであって、商標権者とみなされるわけではない。
 本問において「団体構成員又は地域団体構成員による登録商標の使用は、商標権者の自己の構成員として、不使用による商標登録の取消しの審判(商標法第50条)において、商標権者の使用とみなされる。」とあるのは、「商標権者の使用とみなされる」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

3 正しい
 商68条の24第1項は「国際登録に基づく団体商標に係る商標権は、第七条第三項に規定する書面を提出する場合を除き、移転することができない。」と規定している。
 商68条の24第2項は「国際登録に基づく商標権については、第二十四条の三の規定は、適用しない。」と規定している。
 国際登録に基づく団体商標に係る商標権を移転するときは、商7条3項に規定する書面を提出すればよく、その旨を記載した書面の提出は不要である。
 本問において「国際登録に基づく団体商標に係る商標権を移転しようとするときは、その旨を記載した書面を移転の登録の申請と同時に特許庁長官に提出しなくても、商標法第7条第3項に規定する書面を提出すればよい。」とあるのは、正しい。
 よって、本問は、正しい。

4 正しい
 商7条の2第1項柱書は「事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除き、当該特別の法律において、正当な理由がないのに、構成員たる資格を有する者の加入を拒み、又はその加入につき現在の構成員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない旨の定めのあるものに限る。)、商工会、商工会議所若しくは特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人又はこれらに相当する外国の法人(以下「組合等」という。)は、その構成員に使用をさせる商標であつて、次の各号のいずれかに該当するものについて、その商標が使用をされた結果自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、第三条の規定(同条第一項第一号又は第二号に係る場合を除く。)にかかわらず、地域団体商標の商標登録を受けることができる。」と規定している。
 商7条の2第1項1号は、「地域の名称及び自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標」と規定している。
 地域の名称と商品の普通名称からなる商標は、商7条の2第1項1号に該当する。
 本問において「地域の名称と商品の普通名称からなる商標が使用をされた結果、自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、その商標は、商標法第3条の規定にかかわらず、地域団体商標として、商標登録を受けることができる場合がある。」とあるのは、正しい。
 よって、本問は、正しい。

5 正しい
 商7条1項は「一般社団法人その他の社団(法人格を有しないもの及び会社を除く。)若しくは事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除く。)又はこれらに相当する外国の法人は、…団体商標の商標登録を受けることができる。」と規定している。
 商7条の2第1項柱書は「事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除き、当該特別の法律において、正当な理由がないのに、構成員たる資格を有する者の加入を拒み、又はその加入につき現在の構成員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない旨の定めのあるものに限る。)、商工会、商工会議所若しくは特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人又はこれらに相当する外国の法人(以下「組合等」という。)は、…地域団体商標の商標登録を受けることができる。」と規定している。
 本問において「団体商標の登録主体として認められるものとしては、一般社団法人その他の社団(法人格を有しないもの及び会社を除く。)等があり、地域団体商標の登録主体として認められるものとしては、商工会、商工会議所若しくは特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人等がある。」とあるのは、正しい。
 よって、本問は、正しい。