代々木塾 弁理士試験

平成28年度 短答試験
【意匠】1

 意匠法における意匠に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

1 ピアノの鍵盤部分は、蓋を開けなければ外部から見えないことから、部分意匠として意匠登録の対象とならない。

2 意匠法において、プログラム等により生成され、物品に表示される画像は、全て「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」に含まれる。

3 蝶結びして乾燥させた麺は、意匠登録の対象となる。

4 姫路城の壁に投影される画像は、投影機の操作の用に供されるものである場合には、意匠登録の対象となる。

5 屋外用いすと屋外用テーブルの脚部に統一感ある模様が施されているときは、その脚部の模様部分は、意匠に係る物品を「一組の屋外用いす及びテーブルセット」とする部分意匠として意匠登録の対象となる。


〔正解〕3

1 誤り
 意6条4項は「意匠に係る物品の形状、模様又は色彩がその物品の有する機能に基づいて変化する場合において、その変化の前後にわたるその物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合について意匠登録を受けようとするときは、その旨及びその物品の当該機能の説明を願書に記載しなければならない。」と規定している。
 ピアノの蓋は開閉できるので、意6条4項により、ピアノの蓋を開いた状態の鍵盤部分の形態について部分意匠として意匠登録を受けることができる。
 本問において「ピアノの鍵盤部分は、蓋を開けなければ外部から見えないことから、部分意匠として意匠登録の対象とならない。」とあるのは、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

2 誤り
 意2条2項は「前項において、物品の部分の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合には、物品の操作(当該物品がその機能を発揮できる状態にするために行われるものに限る。)の用に供される画像であつて、当該物品又はこれと一体として用いられる物品に表示されるものが含まれるものとする。」と規定している。
 プログラム等により物品に表示される画像であっても、当該物品がその機能を発揮できる状態にするために行われる物品の操作の用に供される画像でなければ、画像は、物品の部分の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に含まれない。
 本問において「意匠法において、プログラム等により生成され、物品に表示される画像は、全て「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」に含まれる。」とあるのは、「全て」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

3 正しい
 麺は、経済産業省令で定める物品の区分に例示されている。
 蝶結びして乾燥させた麺は、サービス意匠ではなく、麺自体の形態を表すものであるので、意匠登録の対象となる。
 本問において「蝶結びして乾燥させた麺は、意匠登録の対象となる。」とあるのは、正しい。
 よって、本問は、正しい。

4 誤り
 意2条2項は「前項において、物品の部分の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合には、物品の操作(当該物品がその機能を発揮できる状態にするために行われるものに限る。)の用に供される画像であつて、当該物品又はこれと一体として用いられる物品に表示されるものが含まれるものとする。」と規定している。
 画像が意匠の構成要素となるのは、「当該物品又はこれと一体として用いられる物品に表示される」画像である。
 姫路城の壁に投影される画像は、「当該物品又はこれと一体として用いられる物品に表示される」画像とはいえない。
 本問において「姫路城の壁に投影される画像は、投影機の操作の用に供されるものである場合には、意匠登録の対象となる。」とあるのは、「姫路城の壁に投影される画像は~意匠登録の対象となる」となるとある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

5 誤り
 意2条1項は「この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第八条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。」と規定している。
 意8条の組物の意匠登録出願においては、部分意匠の意匠登録出願とすることができない。
  本問において「屋外用いすと屋外用テーブルの脚部に統一感ある模様が施されているときは、その脚部の模様部分は、意匠に係る物品を「一組の屋外用いす及びテーブルセット」とする部分意匠として意匠登録の対象となる。」とあるのは、「意匠に係る物品を「一組の屋外用いす及びテーブルセット」とする部分意匠として意匠登録の対象となる」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。