2019年6月13日 弁理士試験 代々木塾 連合商標制度の廃止の趣旨

2019年6月13日 弁理士試験 代々木塾 連合商標制度の廃止の趣旨

【問題】連合商標制度の廃止
 平成8年改正において、連合商標制度を廃止することとした趣旨について説明せよ。

【解答】
 平成8年改正前の連合商標制度は、同一人が保有する類似関係にある商標をすべて「連合商標」として関連づけ、登録後の分離移転を禁止し、商品又は役務の出所の混同防止を図ることを目的とした制度である
 しかし、その登録商標と相互に連合商標となっている他の登録商標を使用していれば、不使用取消審判において登録を取り消されず、存続期間の更新時に出願が拒絶されない旨を定めていたが、この特則が連合商標制度の趣旨を逸脱して、ストック商標を過剰に確保することや識別力の弱い商標の商標権を取得すること等に利用されてきた結果、不使用商標の増大、特許庁における事務処理負担の増大及び審査遅延、第三者の商標選択の幅の狭小化といった弊害が余りに大きくなってきた。商標の類似範囲は、本来時間の経過とともに変化するものであるので、登録の段階で連合商標として関連づけることにより固定化してしまうことは適当でない。国際的にも主要国の中で連合商標制度を維持しているのは日本国だけであり、この制度を維持したままでは、将来国際的な登録制度の枠組に入ろうとした場合には不都合が生じるおそれがある。連合商標制度を廃止したことに伴う類似商標の分離移転については、別途、公益的な観点からの事後的な誤認混同防止のための担保措置(24条の4、52条の2)を講ずることにより、認めても問題ないと考えられる。
 そこで、平成8年改正において、連合商標制度を廃止することとした。