代々木塾 弁理士試験 短答

平成25年度 短答試験

〔6〕商標登録出願の手続等に関し、次のうち、誤っているものは、いくつあるか。
 ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

(イ)願書の商標登録を受けようとする商標を記載する欄の色彩が白の場合、商標登録を受けようとする商標を記載した部分のうち白い部分がその商標の一部であるものとみなされる場合はない。

(ロ)商標権の設定登録後に、商標登録出願が、願書を提出した日よりも後にされたものとみなされる場合はない。

(ハ)新たな商標登録出願についてパリ条約による優先権を主張しようとする者は、優先権主張の基礎となる出願がなされたパリ条約同盟国が発行する優先権証明書を必ず提出しなければならない。

(ニ)防護標章登録出願について拒絶をすべき旨の査定がされた場合、それを不服とする審判の請求と同時でなければ当該防護標章登録出願を商標登録出願に変更することができない。

(ホ)政府等(政府又は地方公共団体)以外の者が開設する博覧会であって特許庁長官の定める基準に適合するものに出品した商品について使用をした商標について、その商標の使用をした商品を出品した者がその出品の日から6月以内にその商品を指定商品として商標登録出願をしたときは、その商標登録出願は、その出品の時にしたものとみなされる。

1 1つ   2 2つ   3 3つ   4 4つ   5 5つ


正解 4

(イ)誤り
 商5条6項は「商標登録を受けようとする商標を記載した部分のうち商標登録を受けようとする商標を記載する欄の色彩と同一の色彩である部分は、その商標の一部でないものとみなす。ただし、色彩を付すべき範囲を明らかにしてその欄の色彩と同一の色彩を付すべき旨を表示した部分については、この限りでない。」と規定している。
 商5条6項ただし書が適用されるときは、すなわち、色彩を付すべき範囲を明らかにしてその欄の色彩と同一の色彩を付すべき旨を表示した部分については、その商標の一部であるとされる。
 本問において「願書の商標登録を受けようとする商標を記載する欄の色彩が白の場合、商標登録を受けようとする商標を記載した部分のうち白い部分がその商標の一部であるものとみなされる場合はない。」とあるのは、「商標登録を受けようとする商標を記載した部分のうち白い部分がその商標の一部であるものとみなされる場合はない」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

(ロ)誤り
 商9条の4は「願書に記載した指定商品若しくは指定役務又は商標登録を受けようとする商標についてした補正がこれらの要旨を変更するものと商標権の設定の登録があつた後に認められたときは、その商標登録出願は、その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす。」と規定している。
 商9条の4が適用されるときは、商標権の設定の登録後に、商標登録出願の日が手続補正書の提出日となる。
 本問において「商標権の設定登録後に、商標登録出願が、願書を提出した日よりも後にされたものとみなされる場合はない。」とあるのは、「商標登録出願が、願書を提出した日よりも後にされたものとみなされる場合はない」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

(ハ)誤り
 問題文の「新たな商標登録出願」とは、どのような商標登録出願を意味するのか、明確ではないが、分割に係る新たな商標登録出願を意味するとして解答する。
 商10条3項は「第一項に規定する新たな商標登録出願をする場合には、もとの商標登録出願について提出された書面又は書類であつて、新たな商標登録出願について第九条第二項又は第十三条第一項において準用する特許法第四十三条第一項及び第二項(これらの規定を第十三条第一項において準用する同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定により提出しなければならないものは、当該新たな商標登録出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなす。」と規定している。
 もとの商標登録出願について、準用する特43条1項及び2項の規定により提出しなければならない書面又は書類を提出しているときは、分割に係る新たな商標登録出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなさる。
 本問において「新たな商標登録出願についてパリ条約による優先権を主張しようとする者は、優先権主張の基礎となる出願がなされたパリ条約同盟国が発行する優先権証明書を必ず提出しなければならない。」とあるのは、「優先権証明書を必ず提出しなければならない」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

(ニ)誤り
 商12条1項は「防護標章登録出願人は、その防護標章登録出願を商標登録出願に変更することができる。」と規定している。
 商12条2項は「前項の規定による出願の変更は、防護標章登録出願について査定又は審決が確定した後は、することができない。」と規定している。
 防護標章登録出願について拒絶をすべき旨の査定がされた場合であっても、拒絶査定に対する審判を請求することができる3月の期間内であれば、防護標章登録出願について査定は確定しないので、防護標章登録出願を商標登録出願に変更することができる。
 防護標章登録出願について拒絶査定に対する審判を請求し、その請求と同時でなければ、防護標章登録出願を商標登録出願に変更できないとする規定は、存在しない。
 本問において「防護標章登録出願について拒絶をすべき旨の査定がされた場合、それを不服とする審判の請求と同時でなければ当該防護標章登録出願を商標登録出願に変更することができない。」とあるのは、「それを不服とする審判の請求と同時でなければ当該防護標章登録出願を商標登録出願に変更することができない」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

(ホ)正しい
 商9条1項は「政府等が開設する博覧会若しくは政府等以外の者が開設する博覧会であつて特許庁長官の定める基準に適合するものに、パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国の領域内でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会に、又はパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国のいずれにも該当しない国の領域内でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会であつて特許庁長官の定める基準に適合するものに出品した商品又は出展した役務について使用をした商標について、その商標の使用をした商品を出品した者又は役務を出展した者がその出品又は出展の日から六月以内にその商品又は役務を指定商品又は指定役務として商標登録出願をしたときは、その商標登録出願は、その出品又は出展の時にしたものとみなす。」と規定している。
 政府等以外の者が開設する博覧会については、特許庁長官の定める基準に適合するものであることが必要である。
 そのような博覧会に出品した商品について使用をした商標について、その商標の使用をした商品を出品した者がその出品の日から6月以内にその商品を指定商品として商標登録出願をしたときは、その商標登録出願は、その出品の時にしたものとみなされる。
 本問において「政府等(政府又は地方公共団体)以外の者が開設する博覧会であって特許庁長官の定める基準に適合するものに出品した商品について使用をした商標について、その商標の使用をした商品を出品した者がその出品の日から6月以内にその商品を指定商品として商標登録出願をしたときは、その商標登録出願は、その出品の時にしたものとみなされる。」とあるのは、正しい。
 よって、本問は、正しい。